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ドングリキツツキ - FJ

2020/05/25 (Mon) 15:33:12

恐竜時代に北極圏だった場所で、最近化石が発見されたトロオドンというのが先日のテレビ番組で紹介された。 体重比で恐竜界最大の脳を持つ’知性派’恐竜と言われ、植物の種子を蓄えて厳冬期を生き抜いていたらしい。 恐竜の子孫である鳥類に食料備蓄習性を持つドングリキツツキが存在する事がこの推測の根拠として示された。 

このキツツキを初めて見たのはダンラップ・フライトパークに行った時だった。 ダンラップは、中部カリフォルニアのキングズキャニオン国立公園に程近く、シェラネバダ山脈南域の西側山麓にある盆地。 LZに隣接したキャンプ場の端に、蜂の巣のように穴だらけの古びた木の電柱があった。 近づいて見ると、その穴の一つひとつにドングリが仕込まれており、時折飛んで来るアカゲラに似た鳥の仕業と判明した。

初めてここを訪れたのは1983年10月、ハングIII・クリニックの折で、サーマルが落ち着くこの頃は新米パイロットのグラスオフには最適とされた。 高高度フライトへの期待と緊張に胸が高鳴った。 共に練習を重ねて来た仲間5~6名が、いつも指導してくれていたデールと参加。 デールは、その時、まだハングIVではなかったが、インストラクターの資格を持つUCバークレー校の学生だった。 技能・学科テストと合格証明の任に当たるオブザーバーは、この日初対面で’モンキーバー’の異名を持つジム。 何でも、昔フックインを忘れて離陸後、攀じ登ってベースバーを両足で踏ん張って飛んで以来そう呼ばれたとか。 皮肉にも、’フックイン方法のデモ’がこの日サインオフされた4項目の内のひとつだった。

LZからテイクオフまでは1時間以上木々の間を縫う曲がりくねった林道で、雨季に出来た水溜りの穴が連続する悪路だ。 歩くように遅く長いドライブの後、パッと開けた芝生のパラダイスのような場所にブランコのある一軒家が忽然と現れた。 トラックを降りて建物の反対側に回ると、立派な木製の飛び出し台が築かれており、そこからは南西に広がる美しい盆地全体が見渡せた。 標高1,450mから緩いサーマルで150m程上昇し、LZまでの落差840m程を16分余り掛けての初山飛び。 それまでは数分間地面を這うようなフライト経験しかなかった者にとって、正に天にも登る心持ちだった。 以来ダンラップでぶっ飛んだことは無い。 それ程安定した条件に恵まれたエリアと言える。 ただし、午後サーマルの巣となるLZは周囲に木々も多く、池が隣接しており、ランディングはチャレンジングだ。 特異な注意点としては、盆地中央にある七面鳥の鶏舎上空を飛ばない事。 七面鳥は極めて臆病なので、グライダーの影に怯え、ストレスから肉が硬くなるのだろうか。

LZの隣がキャンプ場というのは、フライト後非常に便利でありがたい。 SUVパークになっており、シャワー、トイレ完備に加え、各サイトにバーベキューグリル、焚火炉、水道、電源まで付いていて快適だった。 キャンピングカーで逗留している人から自家製蜂蜜を土産に頂いたり、一般のキャンパーの方々とも和気あいあいの滞在だったように思う。 特筆すべきは、集落も疎な田舎なのにレストランが一軒あること。 薄暗い山小屋のような家庭的な食堂だが、前日までに予約が必要。 サラダはレタスをざっくり何当分かにした塊(ウェッジ)がそのまま皿に乗って出て来た。 メインのプライムリブ(極上リブロースの塊をオーブンでローストした料理)は噂どおり絶品だった…’楽しいHG後の山奥での思い掛けないご馳走は特別である’という贔屓点を差っ引いたとしても、未だに人生で一番美味かったという思いが頭から離れない。

ダンラップは、アーモンドやピスタチオの広大な穀倉地帯をひた走って320km程の距離にあるが、その後4度訪れた。 風下に当たる東は、雪を頂いたシェラネバダの高峰を背後にしたジャイアントセコイアの森林キングズキャニオンが横たわり、XCの行手を阻んでいる。 山脈の向こう側がOwens Valleyだ。 盆地のフライトは金魚鉢の中を泳いでいるような感じだが、1990年5月には2週連続で盆地を飛び出した。 距離は稼げないが、ドライブ途中見知った道路沿いに降りられそうな風上へのXCを試みた。 フライトログによれば、13日は南西3m、視界が霞んだ高曇り。 安定したサーマル。 盆地の北のディライラ・ピークで670m ゲイン、前山を越えた西のスクウォア・バレー方面を目指して向かい風のXC。 スクウォアを過ぎたところにランディング。 現地で知り合ったボブとロジャーも次々に降りて来た。 1時間35分。 20日は南西の風、快晴。 サーマル。 テリーのアシストで12時半テイクオフ。 ディライラを目指したが、2度とどかず低くなった。 苦心の末、高度2,000mまで上げ、ディライラを通過し西に向かった。 スクウォアの裏側で次のサーマルをヒット。 その後、何処とも知れぬ荒野のど真ん中にランディング。 回収まで1時間半待ちだったが最高の向い風XCだった!! 24km。 1時間35分。 
 
本日、妻の後日談によると、皆が飛び立った後停止した車内で無線会話していると、見知らぬ男がドアをノックし「無線免許は持っているか」と尋ねられ、国際免許を提示。 「ジャパンか、いいコールサインだね」「我々は今アルゼンチンと繋がったところで、ここは遠方交信に持って来いの場所なんだ」とか。 妻曰く「地上に残された者はソーシャルにも苦労しているんだ…本件も、日本人として何とか恥ずかしくないようにクリアーできたが…」と。 いつも世話になっている。

Re: ドングリキツツキ - ◯サト

2020/05/27 (Wed) 20:36:21

1983年は私がハングを始めた頃です。
丹那は山伏NG、ヤグラで合格したのを思い出しました。

ダンラップのレストランを調べてみると、今は4軒ヒットします。
Grant Grove Restaurant
Pinehurst Lodge
Twin Valley's Restaurant
Gena's Place
当時の1軒だけはありますか?

Re: ドングリキツツキ - Tモハル

2020/05/28 (Thu) 18:40:49

フライトよりもレストランの部分にひかれてしまいましたw

Re: ドングリキツツキ - FJ

2020/05/29 (Fri) 18:20:27

あのレストランは今は幻となってしまったようです。

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